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青山商事決算に見る「コモディティEC」の限界とその先にあるものは?

青山商事が2022年3月期の決算を発表しました。2021年3月期の大幅赤字から見事な黒転…と言う全体の話はさておき、気になったのが、「ECの売上が伸び悩んでいる」ということです。今回は、青山商事をケースとして、コモディティECについて考えてみたいと思います。

私は縁あって10年くらいEC回りのいろんな仕事をしています。昨今のECブームを見ていると、ここ2~3年でさらにEC化率は上がりそうだな…と感じています。そんな中で、様々な企業のEC戦略を見ながら、思ったことを遠慮なくメモ代わりに残しておこうと思います。

目次

青山商事のEC化率は約2%。伸び悩むEC売り上げ

先日、青山商事の決算が出ました。EC・デジタル戦略については、以下のように1枚にまとめられていました。

青山商事IRより抜粋

私なりに要点をまとめると、まあこういうことです。

  • 売上1200億に対してEC26億やで~。だいたいEC化率は2%前後やで~
  • Cの売上は、全体が伸びているにもかかわらず横ばいやで~
  • 計画に対しては全然未達やで~。ECサイトの強化とかがあんまりうまくいかんかったで~
  • でも今後は投資加速していくで~。IDがもうじき1500万件あるし、これ使っていくやで~

これからも進捗のために、EC専用の商品の投入や、人材の登用をしていくということです。一方で、売上目標も、超拡大主義から、2023年の目標は、ある程度現実的になっています。

青山商事のEC事業が根幹に抱える問題とは何か?

さて、では、青山商事は、いったん仕切り直しで、現実的にECの拡大をしていけるのでしょうか。

個人的には、なかなか難しいのではないかな、と思っています。その理由を、少し説明したいと思います。

※ここから先は推測が含まれます。事実と異なる場合があれば、ぜひお問合せからお教えください。

前提:自前主義の青山。売上はほぼ自社サイト?

おそらく、洋服の青山の売上は、ほぼ自社サイトだと思います。ZOZOは2019年に撤退、楽天はアウトレット、Amazonでも自社ストアが動いている様子はほとんど見られませんでした。

ZOZOは2019年に撤退しているっぽいです。

というわけで、今後、売上を上げていくためには、「とにかく自社サイトに人を集めて、買ってもらう」という仕組みが必要になります。

前提:ビジネスウェアはコモディティ化しつつある

一方で、ビジネスウェアは、コモディティ化しつつあるというのが実態です。

Amazonのスーツ・ビジネスウェア

実際、Amazonにおいても、スーツ大手各社や、独立系メーカー、中国系など、様々なメーカーが競争を繰り広げています。

私もこのカテゴリのビジネスに少しだけ携わっていましたが、このカテゴリでは消費者はあまりブランドを重視しない傾向にあります。プロダクトで言えば、ブランドよりも、価格、デザイン、機能などが差別化要因になる傾向が強いように思えます。つまり、「青山だから良い」「スーツカンパニーだから強い」というのは、もはや消費者の選択基準ではないように思えます。

コモディティ化する商材で、販路を限定することの難しさ

ここまでの内容を整理すると、青山商事は、「コモディティ化した商材を、販路を絞って売ろうとしている」という戦略になります。個人的には、ここは結構難しい選択だな、と感じています。

スーツやスラックスをオンラインで買いたい、というお客さまがいたとします。そういったお客様は、青山のECサイトと、AOKIのECサイトを比較するのではなく、Amazonや楽天と比較します。彼らと比べて、優位性を保つのが難しいのは、少し考えたらよくわかる話でしょう。

青山商事は、この難しい戦略を取ろうとしているように見えます。もちろん裏には勝算があるのでしょうが、「OMOを進める」前提で自社化を進め、それが修正できていないのであれば、引き続き苦戦を強いられる可能性はあるのではないでしょうか?このあたりが、青山商事の抱えている本質的な問題ではないか、私はそう感じています。

会員IDを増やしたその先にあるものは?

もう1つ、会員IDを増やし続けることと、その効果についてです。

もちろん、会員IDに意味はあります。丁寧に顧客情報を収集し、活用することは、企業にとって有益な資産になるでしょう。一方で、会員IDを増やした先にあるものは?という議論もあります。

現状、青山商事のアプリでは、店舗への送客やコラム、クーポンなどが発行されています。主に顧客に直接ベネフィットを与えているのはクーポンになります。

購買頻度が高い(たとえばスーパーマーケット等で)顧客単位のクーポンは有効ですが、スーツやビジネスシャツは、せいぜい四半期に1度買い物するものになります。そのクーポンを配るためにアプリを活用すべきか、というのは議論が残るところです。

もちろん他にももろもろ活用する予定ではあるのでしょうが、今後、会員IDを増やし、顧客のウォレットシェアを高めていくために、どういう戦略をとるべきか、この部分もまだまだ課題が多いと言えるのではないでしょうか。

まとめ:商材と売り方に、どうストーリーをつけていくかが重要

現時点では、青山商事は、コモディティ化された、低頻度購買商材を自社だけで売るという、難しい選択をしています。(もちろん、これでうまくいく可能性もあります。)ただ、個人的には、商材と売り方、顧客獲得に、あんまりストーリーがないな、というのが思うところです。

今後、青山商事が、現在の路線を貫くのか、それとも別の戦略をとるのか、個人的には注目していきたいところですね。

それではごきげんよう

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